今こそエロ本を拾うべきだと思う。

貴方の転機はどこから?私は

 

性への興味関心のキッカケというのは

当たり前だが人それぞれ異なる

その機会は男女平等にいつかは必ず訪れるものだ

ただそのキッカケは必ず"どこからか与えられるもの"である。

 

の頃

小学生の頃、休みの日はよく友達数人と集まってゲームなんかをしていた

任天堂64でスターフォックスをやったり

4人でやるゲームなので余った奴は漫画を読みふけったりして過ごした

 

ゲームを一通りやり終えると必ず誰かが言い出す。

「外で遊ぼう」

周りが山ばかりの田舎で育った僕たちは室内よりも野外で遊ぶ事の方がなんなら好きだった。

遊ぶ場所は決まって山だったり川だったり

それでも工夫して遊びまくる

冬は飛んでる白鳥を撃墜しようなんて言って石を投げて遊んだり

 

それでよかった。

 

生には無い発色

またある日、いつものように僕たちは外で元気いっぱいに遊びまくっていた。その日は橋の下に秘密基地でも作ろうぜ的な話をしていたと思う。

友達の家の近くに架かる大きな橋に僕らは向かった。

土手を自転車で走ると夏特有の少し青臭いそれでいて生暖かい風が僕らの身体を通り過ぎていく。

目的の場所に到着する

橋の下には不法投棄でもされたであろうゴミが沢山あった

それでも当時の僕らにはその錆びた鉄パイプはゴミではなく"武器"にしか見えないのである。男子ってそんなもん

さて、どこを拠点にするか

なんて話をしているとメンバーの1人が草むらを指差し言った

「あれってエロ本じゃない?」

そこには確かに生い茂った雑草が産みだした緑の海原に自然界では見た事の無い書物が漂流していた。

 

"エロ本"

人伝いにその名前は何度も聞いた事がある。

しかしこの目で実物を見た事は未だかつてなかった。

もしかしたらその時いたメンバーの中には既に経験済みの奴もいたかもしれない。

だが謎の結束感からか

その中で俺はもう見た事あるぜなんてドヤる奴は1人もいなかった

友達の絆が無言で深め合えた貴重な瞬間だったかもしれない

我々はゆっくりとソレに近づいた。

不思議と足並みが異様に揃っていたように記憶している。

その手にはギュッと武器が握られていたままで

 

暴力不服従

ソレがいつからこの河原にいたかなんて分からない

 

僕らの足元には今、エロ本がある

自然と誰もエロ本を手に取ろうとはしなかった

ビビっていたのか?はたまた恥ずかしかったのか。

表紙の女性が僕らの足元から僕らを不敵な笑みで見下しているかのようだ

まるで試されているかのようなそんな圧すらも感じる

しかし少し息を落ち着かせて見てみると

エロ本は泥だらけで何だか全体的に波打っていた。

"エロ本は雨に打たれ天日で干されると波打つ"

という本当にいらない知識を得るのはもう少し先の話になる。

 

"ソレがいつからこの河原にいたなんて分からない"

 

ただ僕らは今まさに、キッカケを与えられたのだ。

 

ブンズドアー

しばらく沈黙していたのか、はたまた呆気に取られ聴力すらも失っていたのか

急に周りの音がクリアに聞こえる不思議な感覚に陥った

周りにいる友達皆んながそうだったかのようにクリアな音を取り戻した瞬間

その中の1人が唐突に持っていた武器兼鉄パイプでエロ本をめくったのだ。

ジョジョの奇妙な冒険第4部を見た人なら分かると思うが

初めて岸辺露伴の漫画原稿を見た広瀬康一くんの様な、あの感覚になった

ギャァァ〜ン!!

みたいな。

そして僕らは再び聴力を失った

視力に全感覚を奪われたかの様に。

 

信制限になったとて

肌色

それが女性の裸体だと気づくのに少々のタイムラグがあった

今ならば我々の脳には大量の言葉のボキャブラリーが格納されており

見たものに説明をつける際に脳みそ内の単語倉庫から適切な単語をピックアップしそれらを羅列する事で納得させる事が出来る。

しかしその年齢の我々が持ち得る最大のエロい単語は

"おっぱい"

のみだった。しかし視覚から入ってくる情報量はそんな僕らなど御構い無しに土石流のごとく無慈悲に流れ込んできた。

完全に脳みそのキャパが終了を迎え脳みそが通信制限になっていた。

また来月の通信制限解除までこのエロ本はお預けか

 

もちろんそんな事は無い

 

若い脳みそは処理速度すらままならないものの

容量だけはでかい、いくらでも視覚情報を溜め込む事が出来る。

それが興味津々だったエロ本ならなおのことだ。

通信制限になったとて我々はすぐさま脳みそをwi-fiに繋げばいいだけのこと

一度見てしまえ後はこちらのもの

脳に作成された新規フォルダ"エロ"に新しい知識を叩き込むだけだ。

別名で保存なんて必要ない

いちいちファイル名を変えて保存する必要も無い。

それから味をしめた僕たちは外で遊ぶ理由に"エロ本探し"が加わった。

 

それでよかった。

 

 

これが僕のキッカケだったのかもしれない。

 

 

 

索と検索

今の時代周りにエロがありふれてしまった。

それが時代の流れだと思うしそれを否定する気も無い。

ただあの頃の僕たちは確実に探索の先にエロを追い求めていた。

今は検索すればすぐに見たい物が観れる

とてつもなく便利だ

携帯の画面も大きくなり高画質で長時間のエロ動画も見放題

 

ではこの世代からエロを知った人間はこの先で何を見つけ出すのだろう

 

老害みたいに

"お前にエロ動画はまだ早い、まずは河原でエロ本探しじゃ"

などと言うつもりは勿論無いが

もう少しゆっくりでもいいんじゃないかねとは思う。

 

着地点が分からない。